アート哲学・糸崎公朗blog3.2

写真家・美術家の糸崎公朗がアートと哲学について語ります

戦争罪悪感プログラム

ウィキペディアの「連合軍占領下の日本」の関連項目から、この時代にGHQによる「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」と言うのがあったのを初めて知りました。 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラ…

子供はなぜ勉強しなければならないのか・3

子供はなぜ勉強しなければならないのか?と言う問いの一方には「勉強が嫌い」と言う思いがあるのですが、ぼくも子どもの頃は勉強が好きな方ではなかったのです。ところが子供の頃、そうやってイヤイヤながら勉強した事が大人になってからかなり役立っている…

子供はなぜ勉強しなければならないのか・2

なぜ勉強しなければならないのか?「なぜ○○なのか?」「○○とは何か?」と言う問いの答えを見つけるには「歴史」を遡って考えるのが一つの方法です。それで個人の歴史を遡ると、どれだけ勉強が苦手な子供でも、日本語が喋れる限り「日本語を習得した」という…

宇宙観と理論

議論が成り立つ条件とは何か? いくつかあるでしょうが、今ちょっと読んでるウィリアム・ジェイムズ『プラグマティズム』冒頭に記された考えを借りれば「宇宙観の一致」がひとつ大きいとではないかと思います。 人間は人それぞれに「宇宙観」を持っていて、…

子供はなぜ勉強しなければならないのか・1

子供はなぜ勉強しなければならないのか?その理由はいくつか考えられますが、まず一つは「なぜ勉強しなければならないのか?」などと言う余計な疑問を持たないことです。 親や先生から「勉強しなさい」と言われ、「子供は勉強するもんだ」などと言われ、その…

ナチスと中二病

ナチスのホロコーストについて改めて調べようと思ったら、関連項目の「T4作戦」について読み耽ってしまったのですが、ふと気付いたのは、これは「中二病」ではないかと言うことです。 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/T4作戦 「T4作戦」とは、優れた民族を…

大衆と淘汰

オルテガによると大衆とは自ら能力を高めるための努力をしない人を指す。なぜそのような人が大量に存在するのか?原始時代の人間は実はエリート集団で無能者は淘汰される。ところが文明時代になって淘汰されるべき無能者でも生き延びられるようにシステムが…

写実と愚直

ネルソン・グッドマン『芸術の言語』という本を読んでいるが、これによると写実絵画は実物の再現ではない。と言うことは、写真も実物の再現ではない、と言うことになる。少なくともアフォーダンス理論によれば、写真は人間の視覚の再現ではなく、写真と人間…

ガッツさんにもわかる哲学

www.nhk.or.jp NHKに子供むけの哲学番組があり、ネットでも視聴できます。哲学を語るウサギの声がガッツ石松で、あのガッツさんでも分かる哲学というところに驚きがあります。監修は立教大学の河野哲也教授で「哲学カフェ」を主宰されている方です。大人が見…

オルテガ『大衆の反逆』抜き書き

支配とは権威の正常な行使である。それはつねに世論に支えられているものでありこの事実は今日も一万年前も、イギリス人の場合もプッシュマンの場合も変わりないのである。いまだかつて、世論以外のものに支えられて支配を行なった者は地球上には一人もいな…

国家革命と自己革命

【自己実現の一歩】心の中に主流として存在しているものを排除する。それはまさに革命である。しかしとにかく革命をして心の底にある自分の実際の感じ方を復権させることである。 自分を受け入れることが自己実現への道。(加藤諦三先生) 自己革命は一度な…

芸術とサブカルチャー

昨夜オン・サンデーズで行われた梅沢和木さんと筒井宏樹さんのトークは非常に面白かったのだが、梅沢さんはアニメやゲームや漫画などの影響を多大に受けていながら、現代アートをはじめとする美術の影響はほとんど受けて来なかった、という点がなかなか興味…

内田樹 検証Blog

www.toibito.com 内田樹先生の文章も、10年くらい前までの一時期は、それこそ片っ端から買って読んでましたが、今読むと色々とヘンな箇所に気づいてしまいますね… 例えばユダヤ教のラビと、キリスト教の神父や牧師を比較されていますが、そもそも新約聖書を…

芸大と学歴

ayaka-tanamura.net 誰かがシェアしていた記事でしたが、元の投稿が誰だかわからなくなって再検索して探し出しました。 最初に見たときは、大手メディアのインタビュー記事かと思ったのですが、改めて確認したら藝大生が本人のブログに書いた記事でした。 な…

www.toibito.com 内田樹先生の文章も、10年くらい前までの一時期は、それこそ片っ端から買って読んでましたが、今読むと色々とヘンな箇所に気づいてしまいますね… 例えばユダヤ教のラビと、キリスト教の神父や牧師を比較されていますが、そもそも新約聖書を…

外山滋比古 検証blog

president.jp かなり酷い内容の記事ですが、まず読書を「知識を詰め込むため」という風に一律に規定するのがおかしい訳です。 例えば小説ですけれども、小説というとは一般的に知識を詰め込むために読むものなのでしょうか? また、哲学のようないわゆる知的…

言語論と聖書

初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。この言は、初めに神と共にあった。万物は言によって成った。成ったもので、言によらずに成ったものは何一つなかった。言の内に命があった。命は人間を照らす光であった。光は暗闇の中で輝いている。…

ボルヘス『詩という仕事について』抜き書き

私の信ずるところでは、生は詩から成り立っています。詩は、ことさら風変わりな何者かではない。いずれ分かりますが、詩はそこらの街角で待ち伏せています。いつ何時、我々の目の前に現れるやもしれないのです。#ボルヘス 詩という謎 #ボルヘス 『詩という仕…

対話と好奇心

私よりさきに生をうけた人々があらゆる有益で必須な主題を自分のものとしてとってしまったから、私は非常に有益な、または面白い題材を選ぶことができないのを知っている。#ダ・ヴィンチ それで私は、ちょうど貧乏のため一番あとから市場に到着したが、他に…

反省と分裂

人間、他人のことをとやかくいうのは簡単だが、自己反省というのはなかなかに難しい。何故なら他人は自分ではないから客観的に見ることができるが、自分は自分なのでそれができないのである。 だから自己反省をするには、自分をあたかも他人のように突き放し…

フロイト 精神分析入門 抜き書き

一般に患者に新しい治療施す際には、それに伴う苦痛はなるべく控えめに説明し、逆にその治療法法の効果については感情安心させるというのが、これまでの記録の定石でした(中略)しかし我々が神経症患者を精神分析によって治療するときには、それとは違った…

芸術と呪術

「言葉」は誰にとっても自分が産まれる以前からすでに存在している。例えば「芸術」という言葉もそうである。だから本来的に「芸術」という言葉が具体的にどんな意味内容を指すかは誰も知らないのであり、だからこそそれを調べて探求する必要がある。 ところ…

欲と芸術

『老子』第1章「常に無欲を以て其の妙を観、常に有欲を以て其の徼を観る」とあるが、実に「非人称芸術」とは「欲」の問題であった。つまり、このコンセプトの根底にあるのは「芸術だと思えばなんでも芸術に見える」と言う原理であり、それは「欲」の問題なの…

言葉と定義

言葉には定義がない。つまり言葉とは、西田幾多郎先生が述べた如く直接知覚である。 例えば「人間」という言葉の定義を考えても、その内容は非常に曖昧なものを含み、一義的に定義できない。生物学的に考えても、それを進化論的に見れば、ホモ・サピエンスの…

シニフィアンと人工物

私は「私の中のサヨク」を除去するというより転化しなければならない。除去よりも転化の方が資源の無駄にならないからである。何をどう転化するのか? サヨク思想は「自然」を偏重して賛美し、私もそれに絡め取られたのだったが、これを「無意識」へと転化す…

「もの」と無意識

マルクスの唯物論も、唯物論が根拠とした近代的科学思考も、フッサールが「科学者の素朴さ」を批判した時点で本質的には終わっている。 20世紀はじめにフロイトが無意識の存在を発見し、ソシュールが言語の構造を明らかにしたことと、20世紀半ばにワトソンと…

動物と想像界

この鳥(駒鳥)が赤い胸羽を示すことは縄張りの主張であり、この赤い胸羽を見せるだけで、相手に或る行動を引き起こすことが観察されています。赤という色は、この場合、想像的機能をもっているわけです。 この想像的機能が、了解関連という次元へと翻訳され…

構築と消費

私は「私の中のサヨク」と戦わなくてはならない。私の中のサヨクとは、戦後から現在に至るまで日本中を覆っているサヨクと同じなのであり、そうしたものを私は敵性認識して戦わなくてはならない。 引き続いて中島義道先生についてですが、私はかつてこの方の…

哲学と左翼

今なら分かりますが、中島義道先生のこれは自分のことを言っておられますね…私も中島義道先生の本は一時期片っ端から読んでましたが、ちゃんとした哲学書を読むようになって「卒業」したのでした。 売れる本を書ける人はごまかしのうまい人が多く、内容の貧…

充溢と空虚

自分と他人とは何が違うのか?と言えば、人は皆等しく空虚なのである。だから違いと言えば、自分が空虚であることを自覚する人と、自分は充溢していると思いなしている人の二種類とがある。 自分が充溢していると思いなしている人も、そのように全く思ってい…