アート哲学・糸崎公朗blog3.2

写真家・美術家の糸崎公朗がアートと哲学について語ります

『逆三角関係展Vol.26』9月8日(木)開催のお知らせ

9月8日(木)に開催の『逆三角関係展Vol.26』のお知らせです。
隔週木曜日に新宿の「竹林閣」で開催する、一日展シリーズの26回目です。
http://gyaku-sankaku.zombie.jp/kitaibunshi/
今回はゲストアーティストに花牟禮有基さんと柳川たみさんを迎え、レギュラーメンバーは私が出品します。

花牟禮有基さんは2013年多摩美術大学 博士前期課程 美術研究科 日本画領域 修了で、今回は日本画の伝統的な画法で巨大な恐竜を描いた作品を発表される予定です。

柳川たみさんは「逆三角関係展」への参加は3回目ですが、「発表したい作品があるのでぜひ」という本人の希望によって、参加が決まりました。

私は今回は「フォトモ」の新作を出します。
実は、世界で最初にフォトモを作ったのは、私は確認した限りではマルセル・デュシャンです。
私はデュシャンのミニチュア作品が収められた『トランクの中の箱』に、角砂糖の作品の「フォトモ」が含まれているのを、高松市美術館の企画展で確認したのです。
デュシャンフォトモは、私のフォトモとはちょっと作り方が違っていて、ですから私はそのデュシャンの製作方法を採り入れたフォトモを作ってみようと思った次第です。

みなさまのお越しをお待ちしておりますので、どうぞよろしくお願いします。

 

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『逆三角関係展Vol.26』
開催日:2016年9月8日(木)
出品作家:花牟禮有基・柳川たみ・糸崎公朗
13:00〜21:00 入場随時
13:00〜21:00 美術展
19:00〜20:00 音楽演奏
20:00〜21:00 作家自身の自作解説
入場料:500円

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会場:東京都新宿区新宿5-14-3 有恒ビル6F 竹林閣
※有恒ビルの1Fには「鍵の救急車」がある。
※隣には「ホテルサンライト新宿」がある。
日清食品の本社ビルの並び。
●JR線・西武新宿線新宿駅」から徒歩15分。
●地下鉄「新宿三丁目駅」の「E1」出口から3分。
●地下鉄「新宿三丁目駅」または「東新宿駅」から徒歩7分。

デュシャンのフォトモ

世界で最初に「フォトモ」を作ったのは誰か?
と言えば、私が確認した限りではマルセル・デュシャン(Marcel Duchamp、1887- 1968年)なのです。
デュシャン1941年より「トランクの中の箱」(La Boîte-en-valise)というマルチプル(量産芸術)を販売し始めますが、これは自身の作品の複製やミニチュアを箱に詰めた「移動美術館」とも言える作品です。
そしてこの作品の中に「フォトモ」が含まれていることに、私は気付いたのです。

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これは高松市美術館が所蔵する「トランクの中の箱」ですが、この作品そのものは300個以上が制作され、世界中の美術館が持っています。

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さて、この作品の箱底面の中央奥には、デュシャンの『ローズセラヴィよ、なぜくしゃみをしない?』(鳥かごの中に角砂糖状にカットした大理石を入れた作品)のミニチュアがしつらえてありますが、これがなんと、作品写真を切り抜いて立体化した「フォトモ」なのです。

作りは簡単ですが、切り抜いた写真に立体的な折り目を付けてますから、これは間違いなく「フォトモ」です。

もちろん、デュシャンは「フォトモ」という言葉は使ってないし、『トランクの中の箱』についてのどの解説にも、「写真を切り抜いた立体」のことには触れられていません。

私もデュシャンのこの作品について全く知らないまま、自分の「フォトモ」を作っていたのでした。

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デュシャンフォトモを裏側から見たところです。ちょっとピンぼけで解りにくいですが、立体的に起こした写真の裏側が石膏で充填され、形を保つ構造になっています。
ここが私の「フォトモ」と大きく違うところです。

が、「フォトモの裏側をどうするか?」と言う問題は私の中でも最近浮上してますので、この製法を採り入れた「フォトモ」を、9月8日(木)に開催の『逆三角関係展Vol.26』に向けて作ってみようかと思っています。