アート哲学・糸崎公朗blog3.2

写真家・美術家の糸崎公朗がアートと哲学について語ります

軍隊と武装

人間は誰でも武装しています。軍隊を組織しています。暴力を保有しています。そうでなければ、どうして生きていけるでしょうか?人間は他の生物を殺して食べる恐ろしい生き物です。そのために人体の細胞は軍隊の如く組織化されています。

多くの人が自分の暴力を棚に上げ、他人事のように暴力を非難します。自分の暴力を自覚できない人は、実は自分に向けて暴力を働いています。

人は自分自身に対しても様々な暴力を働いています。我慢すること、耐え忍ぶこと、欲望を諦めること、自分自身の成長を押さえつけること。知識や好みを広げずに、狭い範囲に閉じ込めて置くこと、希望を捨て堕落すること、などなど、これらは自分による自分への暴力だとは言えないでしょうか?

いったい、暴力とは否定すべき対象なのでしょうか?暴力を否定の対象とだけ捉えると、何か大事なものが見失われ、そこにまた新たな暴力が生じるのではないでしょうか?

臆病な人は暴力的です。臆病は暴力の一形態です。臆病な人は、例えばゴキブリ一匹に大騒ぎして、全力でこれを殺そうとします。いったい、これだけで済んでいるのでしょうか?

暴力と暴力が拮抗した状態が平和であり、このバランスが崩れると戦争が起きるのでしょうか?