アート哲学・糸崎公朗blog3.2

写真家・美術家の糸崎公朗がアートと哲学について語ります

賢者と鏡

真に優れた人間は人々から憎まれます。
真に優れた人間は、愚かな人間の愚かさを映し出す鏡だからです。
鏡が無ければ、愚かな人は愚かな自分と対面することはありません。
愚かな人は、自分が愚かであることを忘れさせてくれる他者を求めます。

優れた人を装う人は、メッキで装飾する一方で、愚かな人の愚かさを映し出す鏡にはならず、それ故に愚かな人々の信頼を獲得するのです。
賢者は愚者を映し出し、愚者はメッキには映らないのです。

偽物の知識人に人気があるのは、メッキは愚者の姿を映し出さないからなのです。
つまり偽物の知識人は、論点を核心から巧妙にずらすのです。
論点とは、人はいかに愚かなのかという事であり、その事実を一人一人の具体的な人自身の目の前に突き付ける事です。

偽物の知識人は論点をずらすことで人々の人気を獲得します。
多くの人は論点をずらされ、理論を迂回させられることが大好きてす。
つまり愚かな人にとって、論点の核心は真っ直ぐ自分に向かってくるのであり、耐えられないのです。
いや人は誰でも愚かで、論点を受け止められる人とそうでない人がいます