アート哲学・糸崎公朗blog3.2

写真家・美術家の糸崎公朗がアートと哲学について語ります

ポスト科学と総合性

英語のscience(科学)の語源はラテン語のscientia(知識)であり、scientia(スキエンティア)はscio(スキオー=知る)の派生語である 。と言うことだが、scienceを科学と訳したのはそれがあらゆる事物を「科」に分けて捉える学問であるからで、名訳である。

近代とは科学の時代であり、何でも細かくカテゴリー分けすれば、効率的とされた時代である。そこでポスト近代とは、科学への反省であり、カテゴリーを横断する総合性の復権であり、それが例えば80年代末から90年代初頭にかけての博物学の再評価捉える復権にも現れている。

ポスト近代、ポスト科学の時代はすべての科学的なカテゴライズが否定されたのではなく、カテゴライズとカテゴライズを否定した綜合性とが混在している。例えばスマホやパソコンは科学技術をベースとしながら、科学的なカテゴライズを超えた総合性を有し、デジカメなど単機能機械の存在を脅かしている。