アート哲学・糸崎公朗blog3.2

写真家・美術家の糸崎公朗がアートと哲学について語ります

芸術とデザイン

芸術とデザインの違い、というものが自分にはよくわかっていなかったのだが、芸術とデザインでは「善」のあり方が異なっている。デザイン的な善とは「隣人愛」であり、その場合の隣人とは「目の前に存在する具体的隣人」を指すのであり、普遍的な意味での隣人ではない。

芸術とデザインでは「普遍」のあり方も異なっている。デザイン的な普遍とは「隣人愛」であり、隣人愛そのものに普遍性はあるが、「隣人」そのものは目の前の具体的で個別的な隣人を指すのであり、そこに普遍性はない。

デザインというものは、目の前の具体的で個別的な隣人からの「距離」によって成立する。いやそうではなく、そもそも民衆というものが、お互いに目の前の具体的で個別的な者同士で距離を調整しながら相対的に存在している。その関係の中にデザインも存在している。

デザインの卓越性とは、民衆が認識するところの卓越性の反映である。そして、民衆の中において卓越したと言える人物が、確かに存在する。民衆の中で卓越した人物とは、例えば周囲に対する気配りが行き届いていて、そのための大変に高い能力を有している、まるで天使のように良い人がそれである。