アート哲学・糸崎公朗blog3.2

写真家・美術家の糸崎公朗がアートと哲学について語ります

猜疑心と嫉妬心

マキャヴェッリによると、人間の元来の性質として猜疑心と嫉妬心が強い。故に例えば将軍が国のために命をかけて戦って勝利しても、その将軍に満足な褒美を与えないどころか追放してしまうような例が、歴史的に度々見られる。

王は国のために立派な働きをした将軍に対し、自分の地位を脅かすのではないかと言う猜疑心を抱き、またその優れた能力に嫉妬心を抱き、恩を仇で返すような行いをする。これは人間の元来の性質によるものだから、ある方法によっでしか防ぎようがない、とマキャヴェッリは指摘する。

その方法とは、王国であれば国王自らが戦地に赴き戦闘の指揮を執り戦果を上げることである。王が自ら戦果を上げれば、他の誰かに猜疑心や嫉妬心を抱く必然も無くなるのである。また共和国の場合は、国民が皆で戦争に参加することで、そうすれば連帯意識が生じ、誰か特定の人間に嫉妬することも無くなる。