アート哲学・糸崎公朗blog3.2

写真家・美術家の糸崎公朗がアートと哲学について語ります

2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

情報と退行

近代の終わり。それが何なのか知らなくとも、我々は近代の終わりを生きているのであり、自分の意思とは関係なく、近代の終わりとして感じ、考え、そして意思するのです。 原始的なもの、反文化的なものに惹かれるのは、自分に固有の感覚ではなく「近代の終わ…

生活世界と環世界

多くの人が「芸術とはこういうもの」と確信を持って理解しているのはフッサールの言う「生活世界」においてであり、一方で改めて問われて「芸術がわからない」と答えるのは、生活世界の外部についてわからない、という事を示しています。 ソクラテスの「無知…

心と芸術

芸術とは何かがわからなくなってしまうのは、芸術とはこういうもの、という具合に自分なりの答えを出してしまっているからです。 「芸術がわからない」という人に限って、「芸術とはこういうもの」という自分なりのしっかりした答えを持っているのです。 「…

情報と技術

「情報化時代」と言えばインターネットが普及して以後を指すイメージですが、私が生まれた1965年からすでに情報化時代だったのでした。私が誕生しこれまで生きてきたのが情報化時代で、それだけに「情報化」と言うことが自明化し、対象化できないでいたので…

情報と非当事者

「情報化時代」と言った時に、情報化時代に生きる我々にとって「情報化時代」そのものが自明化して、それが何であるかを対象化できなくなっています。 情報化時代とは「素人の時代」でもあります。専門家が持つ専門知識を「情報化」する事で、素人がそれを持…

学びと盗み

人は「自分固有の感性」によって感じ、「自分固有の考え」によって考えているつもりでいて、その実「既成の感じ方」によって感じさせられ、「既成の考え方」によって考えさせられているのです。それは多くの人が店で買った「既製品の服」を身に付けているよ…

性善説と性悪説

【性悪説】人間の本性は悪であり、たゆみない努力・修養によって善の状態に達することができるとする説。荀子が唱えた。【性善説】人間にはもともと善の端緒がそなわっており、それを発展させれば徳性にまで達することができるとする説。孟子が唱えた。辞書…

自尊心と独創性

人は何を目的にして生きるのか?もちろん人それぞれですが、自分を反省的に捕らえて考えてみるならば、一つには、人はプライドを満たして安心を得るために生きています。その欲望は外敵から身を隠して安心するという動物的衝動に根差しています。 多くの人は…

認識と見積もり

世界を認識するとは、自分のレベルの低さを認識することです。なぜなら自然的態度の人は世界を認識することを拒絶し、自分のレベルを高く見積もっているからです。 多くの人は自分が優れている=強いと信じ切って安心しているのであり、過酷な自然の淘汰圧を…