アート哲学・糸崎公朗blog3.2

写真家・美術家の糸崎公朗がアートと哲学について語ります

解脱と癒着

学問のために生きる人は勤勉ですが、自分のために生きる人はすぐサボります。

哲学的思考とは解脱です。つまり自分の直接的な感覚からできるだけ遠ざかり、なおかつこれを自分のものとすることです。自分の感覚と癒着した人は、癒着した感覚そのものを手にすることが出来ず、その他の何も手にすることが出来ません。解脱した人だけがあらゆる事物を対象化し手にすることがでます。

解脱とは、癒着を解き分離することです。解脱しない人は全てが渾然一体となって癒着し、そのために何もかもが認識出来ない状態でいるのです。

解脱とは逃走です。必要なのは逃走先の確保です。それは覚悟です。逃走の覚悟が決まれば、逃走経路は開かれます。

複数の学問は、全て一つの哲学の分岐であって、独立したものとは考えられていない。-フッサール

世代から世代へと無限に成長する真理の体系。-フッサール

つまり、生物進化の系統樹と同じ、と言うことです。何事によらず起源はごく限られ、あらゆるものが系統樹の何処かに位置しているのです。

自分が王道だと信じていることが、常に傍流では無いかと疑うことが必要です。自分の常識は他人の非常識、日本の常識は世界の非常識、かもしれません。