アート哲学・糸崎公朗blog3.2

写真家・美術家の糸崎公朗がアートと哲学について語ります

自分の頭と他人の頭

子供のころから親や先生に言われ続けてきた「自分の頭で考えろ!」という教えは間違いでした。
「自分の頭」だけで考えようとすると、実に乏しい「他人の頭」で考えることになってしまうのです。
「考える」とは「言葉」を使うことであり、言葉とは「他人の頭」に他ならないのです。

「自分の頭」だけで考えようとする人は、実際にはそれまで自分が取り入れてきた、実に乏しい量の「他人の頭」で考えているにすぎません。
これまで自分が何となく聞きかじってきた「他人の頭」の断片を寄せ集め、それが「自分の頭」であるかのように思い込んでいるのです。

「芸術とは何か?」や「神とは何か?」といった問題を「自分の頭」で考える人は、どこかで聞き齧ったそれらについての断片的な言説を、つまりは「他人の頭」の断片を繋ぎ合わせ、それをして「自分の頭で考えた」と思いなしているのです。