アート哲学・糸崎公朗blog3.2

写真家・美術家の糸崎公朗がアートと哲学について語ります

整合性と閉鎖系

思い出しましたが「誤解による創造」も非人称芸術の根拠の一つでした。芸術ではないものを芸術と誤解する事で、新たな芸術が創造される…それは神ではないものを神と誤解する事で、神を顕現させると言う、私の宗教的直観と連動していたのでした。イワシの頭も信心から、芸術にも神にもなる、と言うのがその理論です。

しかしフッサール現象学は「整合性は正しさの証明にならない」事を教えるのです。どれだけ精緻な理論体系であろうとも、それが依って立つ地盤そのものが間違いであるなら、系そのものが間違いだという事になるのです。

現象学的に見るならば、整合性のある理論体系は閉じていて、その外部にその他の理論体系が存在する、という現象が生じているのです。そしてそのような現象が生じている事と、それぞれの理論体系のどれが正しく、どれが間違いであるかは、全く次元の異なる問題なのです。

非人称芸術とは何か?自分にとっての「芸術とは何か?」をフッサールに倣ってデカルト的に省察する必要があるのです。