アート哲学・糸崎公朗blog3.2

写真家・美術家の糸崎公朗がアートと哲学について語ります

他人と肉親

イエス・キリストの凄いところの一つは、母親との直接的な血縁関係よりも、「人類皆兄弟」という広範な視点による血縁関係を優先したことにある。イエス・キリストにとって母マリアは、大勢いる自分の兄妹たちの一人に過ぎない。 

他人が「自分ではない他の人」の意味であるなら、自分の親もまた他人である。親と自分は血(遺伝子)を共有しているから他人ではない、とする考えもあるが、人は人である以上、誰もが互いに血(遺伝子)を共有している。

その証拠に、人はどれだけ人種が違っていようと、国籍や文化的背景や言語が異なっていようとも、ある部分では互いに「似ている」のである。

ところで自分はどんな他人とも気が合うわけではなく、その人と気が合うか合わないかは偶然の作用による。だから自分の親と気が合うか合わないかも、偶然の作用による。たまたま自分と親と気が合わなかった場合、そのこと自体で悩むことなく、キリストが言うように多くの隣人と同じように愛せば良い。