アート哲学・糸崎公朗blog3.2

写真家・美術家の糸崎公朗がアートと哲学について語ります

現象とイメージ

徹底した世界観察とは、自己自信を外に「外化する」主観性の、体型的で純粋な内部観察なのである。(フッサール)

現象とイメージは何が違うのでしょうか?イメージの根源の一つは嘘話です。嘘は言葉と発生と共にあったと考えられるからです。嘘話は《現象》の一つですが、嘘は嘘としてしか現象しません。嘘でない本当の話は、言葉で言い当てられた他の現象と結び付いています。嘘話にはこの結びつきがありません。

「狼が来た」という言葉が、「狼が来た」という現象と結び付かないなら、その言葉は嘘=イメージとして現象していることになります。

現象学の見地から《現実》は想定できませんから、嘘=イメージは現実と結び付かないのではなく、その他の《現象》と結び付かないものだ、としなくてはいけません。嘘とは、イメージとは、孤立した現象だということができます。

イメージは孤独で、嘘つきも孤独で、だから虚しいのです。イメージだけの物語や映像が虚しいのはそのためです。イメージを実現する、と言われるのは孤独の解消です。