アート哲学・糸崎公朗blog3.2

写真家・美術家の糸崎公朗がアートと哲学について語ります

2014-12-01から1ヶ月間の記事一覧

輪廻転生と能力差

改めて「法華経」の一部を再読してみたのですが、ここに登場するお釈迦様は、随分と失望しておられます。それは自分に解り得た事柄は決して他人に理解させることができない、という失望です。 人間は本質的には平等のはずですが、事実として人によって歴然と…

ダメな友人

ダメな友人と付き合っていると自分もダメになります。最も身近でダメな友人は「自分」です。自分が「自分」と付き合うとダメになりますから、そんなダメな「自分」との付き合いは絶たなければなりません。しかし実に多くの人が、自分と「自分」がベッタリ付…

第43回 彦坂尚嘉主宰:芸術分析塾ラカン 12月27日(土)予告

第43回 彦坂尚嘉主宰:芸術分析塾ラカン 12月27日(土) 【ニュース】注意:来年の1月の授業は、1月10日(土)ラカン読書会からです。●13:00からネットショップの説明と、水彩画の作品の制作を17時30分まで、特別長時間授業でやります。●20世…

赤瀬川原平の「芸術とは何か?」

赤瀬川原平『東京ミキサー計画』の冒頭を再読してみましたが、やはり私はずいぶん影響を受けてました。ここで赤瀬川さんが語る「芸術とは何か?」の再考が必要ですが、取り敢えずの問題は、私が「空体語」と言うものを一切受け付けない事で、それが赤瀬川さ…

素朴なトラと素朴な人

野生のトラは、素朴に人間を餌とみなして襲ってくるから怖いのです。野生のクマは、素朴に人間を子グマの敵とみなして襲ってくるから怖いのです。同様に素朴な人間は怖く、自分の中の素朴さも怖いのです。 すなわち世界は、自然的態度から出発すればまったく…

現象学的還元とテレビ

この先験的経験においては、世界とその自然経験が、まず第一に「現象」として経験されるのである。#フッサール 写真には実際に起きた事が写ってると思う人は素朴です。本に書かれた事なら信頼できると思う人は素朴です。同様に目に見える世界が実在すると思…

便乗仏教

便乗仏教bot@MUR_Buddhism 駄僧と思えば 簡単に言えば自らの存在をあえて駄僧とすることにより、日々他者の言動・行動に便乗し自らを悟りの極地へ誘うことを表す。MURの「もういっかいいってくれ」とは一度で解することのできない自分を駄僧だと認識しつつも…

志とサブカルチャー

難解なフッサールを読むのが余りにしんどいので、合間に赤瀬川原平『カメラが欲しい』再読してましたが、私の問題は「芸術」などと言いながら、実は自分という存在の半分以上がサブカルチャーで出来ているという経歴で、つまりサブカルチャーの只中にいるそ…

第42回芸術分析塾ラカン 12月20日(土)予告

第42回 彦坂尚嘉主宰:芸術分析塾ラカン 12月20日(土)予告:今年の最終は27日の授業です。ですが忘年会は今週と来週、ささやかにワインを用意してやりますのでご参加ください。

何度でも同じことの意味

何度でも、同じことを書くことに意味があります。 思い付いた言葉を一回書いて忘れてしまってはダメなのです。 どのみち我々は、日々同じ言葉を繰り返していて、それが「日常」という事の意味なのです。 ですから日常から脱するための同じ言葉を何度も繰り返…

急性と習慣

すべての、人間の過失は、性急ということだ。早まった、方法の放棄、妄想の妄想的抑圧。『罪・苦痛・希望・及び真実の道についての考察』フランツ・カフカ#青空文庫 凡ての他の罪悪がそこから生ずる根元的な罪悪が二つある。性急と怠惰。性急の故に我々は楽…

アーティストになれる人

アーティストには誰もがなれる訳ではありません。誰もができることが出来ない人がアーティストになるのです。

優れた凡人と劣った賢者

凡人として優れているが、賢者としては劣っている。 凡人として劣っているが、賢者として優れている。 凡人として優れているが、賢者ではない人。 凡人ではない賢者は凡人としては劣っているのでしょうか?

ハクセキレイとスズメ

LYTRO ILLMと言うデジカメを使ってます。 写真をクリックすると、その部分にピントが合います。

帰納法と演繹法

あらためて気がついたのですが、帰納法に頼るのは間違いではないでしょうか。 日本仏教の最重要経典とされる法華経は帰納法で書かれてます。まず「法華経は素晴らしい経典です」という原理を示し「だから法華経は素晴らしい」という結論を導き出し、同時に「…

第41回芸術分析塾ラカン12月13日(土)予告

第41回芸術分析塾ラカン 12月13日(土)予告 【ニュース】 12月13日(土)には、キリコ展に行って、作品を見て授業を行います。12時に竹林閣集合です。参加費1000円です。17時30分までに竹林閣に戻ります。希望者は、早めにご連絡ください。ふる…

満足の破片

人は誰でもいつか死にますが、それ以前に食わなければ死んでしまう、と言う具合に常に急き立てられています。自分が死ぬことを忘れてる人は、自分が常に急き立てられていることも忘れています。急き立てられる恐怖が、恐怖のあまり何か別のことに転化してい…

商売と悪意

商売の根底には悪があります。それは法律で許される範囲での悪です。法律の主体は国家にありますが、国家成立の根底には悪があります。なぜなら人間の存在の根底に悪があるからです。つまり人は他の生物を滅ぼすことでしか生存出来ず、これを悪と見ることが…

フォースの力と判断停止

全的な現象学的態度と、それに所属している判断中止とは、本質的に完全な人格的変化を結果として生じうるような任務を持ち、それはさしあたって宗教的改心とも比べられるようなものであるが、しかしそれを超えて、人間性として人類に課せられる最も大きな実…

経験と説明

あらゆる理論が無意味なのでは無く、具体性に属さない空論が無意味なのです。科学理論は、具体性に属し、実際への的中を示すからこそ意味があるのです。哲学もまた同じです。 抽象的と思える理論も、実は具体性に属しています。どれほど抽象的な理論であって…

賢者と鏡

真に優れた人間は人々から憎まれます。真に優れた人間は、愚かな人間の愚かさを映し出す鏡だからです。鏡が無ければ、愚かな人は愚かな自分と対面することはありません。愚かな人は、自分が愚かであることを忘れさせてくれる他者を求めます。 優れた人を装う…

第40回芸術分析塾ラカン 12月06日(土)予告

第40回芸術分析塾ラカン 12月06日(土)予告 【ニュース】 授業でやったマニエリズムのアーティストの作品を見に行きます。巨匠ロッソ・フィオレンティーノ、そしてアンドレア・デル・サルトの作品です。上野の東京都美術館で開催の『ウフィツィ美術館…

空論と魔力

あらゆる理論は実際に的中しなければ無意味です。しかし、多くの人は的中しない理論の、その辻褄合わせの内に安住しながら生きています。理論の実際への的中と、理論の整合性とを、巧妙にすり替え安心しているのです。 理論的に整合性があることと、理論が実…

抽象性と具象性

真実に近づくほど、自分が見て聞いて体験する世界は変化してゆきます。なぜなら我々は基本的には嘘の世界に生きているからです。究極の真実に到達するのが原理的に不可能であれば、重要なのは変化そのものです。 客観学的世界についての知識は、生活世界の明…