アート哲学・糸崎公朗blog3.2

写真家・美術家の糸崎公朗がアートと哲学について語ります

現象学的還元とテレビ

この先験的経験においては、世界とその自然経験が、まず第一に「現象」として経験されるのである。#フッサール

写真には実際に起きた事が写ってると思う人は素朴です。本に書かれた事なら信頼できると思う人は素朴です。同様に目に見える世界が実在すると思っている人も素朴です。写真が紙の上に現された「現象」でしかないように、自分の目に見える世界も「現象」でしかないのです。

写真を現実と取り違える人は、子供や未開人のように素朴です。しかし現実と現象とを取り違える人も、また同様に素朴なのです。現実と現象とを取り違える人は、子供のように素朴な未開人だと言えるのです。

素朴な人は、自分の意識をテレビに埋没させながらテレビを見ます。そうでない人は自分の意識をテレビの外部に置きながら、テレビを見ます。

同様に、自分の意識を現実に埋没させながら現実を見る人は素朴です。そうでない人は自分の意識を現実の外部に置きながら、現実を見ます。