アート哲学・糸崎公朗blog3.2

写真家・美術家の糸崎公朗がアートと哲学について語ります

思想と規定

思想とは何か?人間が「本能が壊れた動物」だとするならば、壊れた本能の代わりに言語により構築した「行動プログラム」それが思想です。

ところが人間が本能が壊れた動物ならば、人間はその意味で「何ものでもない」のです。

例えば「本能が壊れたイヌ」がいるならば、それはイヌであってイヌでなく「何ものでもない」のと同様です。

しかしあらゆる思想はまず「人間とは〇〇である」と規定した上に構築され、ここに欺瞞と不徹底があるのです。

思想の場合、「人間とは〇〇である」という規定を、その思想体系の外部に前提し、その前提の上に思想が構築されるのです。

それならば哲学は、人間は本能が壊れた動物であり即ち「何者でもない」ことを徹底して自覚しようとする行為だと言えないでしょうか?