アート哲学・糸崎公朗blog3.2

写真家・美術家の糸崎公朗がアートと哲学について語ります

幸福と味覚

●美味しいものを食べると人は不幸になる。
例えば本当に美味しいパンの味を覚えると、普通のパンが不味く感じられるようになる。
美味しいものを食べると「何でも分け隔てなく美味しく食べられる」と言う感性が失われ、人は不幸になる。
そのように言い含められ、人は幸福に縛られる。

●自分が怠惰だと、勤勉な人が目障りになる。
怠惰な人は、怠惰は責められるべきだと心得ている。
つまり、勤勉な人が怠惰な自分を映す「鏡」となって、自分で自分を責めている。

●現代は、その人は「その人」のままで変わることなく、しかし時代はどんどん移り変わってゆく。その結果、一人の人間は単調で多様性に欠けるが、それぞれの人間は異なって多様である、そんな「時代」になっている。

「自分」が変わる、とはこれまでの「自分」を否定し消し去るのではなく、学習して多様性を獲得することであり、これにより多様な環境や状況の変化に適応可能となる。
しかし一方の人々は自分を「単調な自分」として特徴付けこれを維持し、それぞれに特徴的で多様な人格が、多様な環境に適応している。

●教師が出来ることは、まず自分が学ぶ姿を見本として生徒に見せること。
自分が勉強してない人から「勉強しろ」と言われても説得力がないし、たとえ生徒が勉強しなくとも、自分が学ぶことに満足していれば、必要以上にガミガミ怒ることもなくなる。