アート哲学・糸崎公朗blog3.2

写真家・美術家の糸崎公朗がアートと哲学について語ります

他人と不幸

そういえば私は子供の頃から物凄い不幸を背負っていて、とことん不幸で救いようがない。しかしそれだけに、一見幸福そうにしていて自分でも幸福だと信じている他人の中に、自分とはまた異なる種類の不幸の極みを見てしまう。

人間は誰でもそれぞれのあり方で極限的に不幸なのであり、それは全ての生き物がそうなのである。

人は自分の不幸と向き合うことでしか幸福になれず、あらゆる生物の中で人間だけが自分の不幸と向き合うことができ、その能力が「知性」と呼ばれるのである。

色々と反省してみるならば、自分は救い難い底抜けの不幸を負っているのだが、それは自分以外の他者も同レベルの不幸をそれぞれに異なる事情によって、または同様の事情によって負っている事を示している。

しかし人は自らの不幸から目を背け、無反省でいることで幸福感を得て、実質的な不幸を深めている。