アート哲学・糸崎公朗blog3.2

写真家・美術家の糸崎公朗がアートと哲学について語ります

2014-01-01から1年間の記事一覧

現象と法則

自分の心理的世界に生じる「現象」は、イメージとは似て非なるものです。イメージの中で人は空を飛ぶことも人を殺すことも自由です。しかし現実的には、人の肉体は空を飛ぶ能力を持たず、人を殺せば逮捕されます。そしてこのように現実的な法則こそが、実在…

視界が悪く概念が明瞭

フッサールは著作の中で「測定」という言葉を使います。一方でフッサールは科学者を素朴実在論者として批判します。つまりフッサールの言う測定とは科学的測定ではなく、現象学的還元による測定です。現象学的還元があらゆる測定の「基準」になります。 いや…

利己的な善良さ

自分は一体、今日はどんな「善」をなしたのか?哲学とは実に「善」の問題で、知力の限りを尽くし「善」を為すのが哲学です。今日の私はデジカメWatchの連載原稿を書いてましたが、これも知力を尽くし善良な内容に仕上げる必要があるのです。載せる写真も善良…

ブレンターノ『道徳的認識の源泉について』

ブレンターノ『道徳的認識の源泉について』を読みました。フッサールの師匠です。中公世界の名著にフッサールと一緒に収録されてました。http://www.chuko.co.jp/zenshu/1980/09/400672.html 私にも、哲学が、ようやく分かって来た気がしますが、哲学は実の…

第33回芸術分析塾ラカン 10月18日(土)予告

第33回芸術分析塾ラカン 10月18日(土)予告

いろんな人とそれほどでもない人

いろんな人がいてもいいけど、実はそれほどいろんな人はいません。

捕食者と擬態

○擬態とは、昆虫ではなく昆虫の捕食者が作り上げているのです。鳥類の高度な識別能力が、自分が補食する昆虫類を、見つけにくい姿に擬態するように仕向けているのです。 視覚が発達した恐竜の出現によって、昆虫類のデザインは劇的に変化したはずです。生物…

第32回芸術分析塾ラカン 10月11日(土)予告

第32回芸術分析塾ラカン 10月11日(土)予告 《彦坂尚嘉の言葉》 芸術は呪術ではありません。 呪術への退化は不幸を招きます。 自分の欲望は断念せずに、覚醒して幸福になること。 【ニュース】 抽象美術についてもクラスを開始しています。 《個人のた…

見る存在と見られる存在

見ることは見られることの裏返しです。自分が世界を見ていると同時に、自分は多数の目線によって見られています。部屋に引きこもって生活していている引きこもりも、基本的には同じです。そうでなければどうして彼らは言葉を理解できるのでしょうか? あらゆ…

吉祥寺LUCKYすごろく

吉祥寺LUCKYすごろくというゲームのために、フォトモを9点製作しました。スマートフォンで遊ぶすごろくゲームで、吉祥寺に新規オープンするユニクロのキャンペーンです。公開日は2014年9月26日~10月13日までと限定されてますので、こちらに画像を掲載してお…

善意と知性

善意とは知性ではないでしょうか。よかれと思って他人のために何かをする事自体、非常な知性を要することなのです。たとえ学はなくとも善意にあふれた人は「善意の知性」を有しています。 他人の存在に考えが及ばない人は、その意味において頭の悪い人です。…

視覚と覗き見

『芸術分析塾ラカン』の読書会で読んだ『精神分析の四基本原理』の「アナモルフォーズ」を読んだメモです。 __意識は影であり、あまりものでしかありません。自分とは意識であると思っている人は、自分の城を家来に占拠されてしまっています。 幸運な出会…

騙し絵と騙される人

ラカンを読んでいて改めて思うのは、自分はいかに常識に囚われているかと言うことです。囚われている、と言うことは、どうしようもなく逃れようがない、と言うことです。逃れようもなく囚われの身として絶望の他はありません。人生の残りを考えると、私は失…

2014年9月号のお知らせ

「国宝・久能山東照宮展」昔の写真を素材にした作品「復元フォトモ」を出品します。日程:2014年10月4日(土)〜11月24日(月・祝)会場:静岡市美術館

キッチュとは何か

「芸術分析塾ラカン」の授業で読んだ『モダンの五つの顔』の「キッチュ」の章のメモです。 __ 歴史を知ることは自分が今どの場所にいて、どこへ進むべきかを知ることです。歴史を知ろうとしない人は、何の見通しも効かない「今」という深い森の住人です。 …

第31回芸術分析塾ラカン 10月04日(土)予告

第31回芸術分析塾ラカン 10月04日(土)予告 《彦坂尚嘉の言葉》 芸術は呪術ではありません。 呪術への退化は不幸を招きます。 自分の欲望は断念せずに、覚醒して幸福になること。【ニュース】 抽象美術についてもクラスを開始します。

人と人でないもの

気晴らしをすると寿命が縮まります。気晴らしの間、その人の精神は生きながらにして死んでいるのです。 人間の幸福は他人の不幸の上に成り立っています。いやそれどころか、人間の生存自体が他人の不幸の上に成立しているのです。そうでなくては、どうして人…

おたくとアホロートル

●数学が世界そのものであると同時に、数学とは異なる世界が同時に重なり合って存在しているのです。いや、そのように人間には認識されます。非数学的世界は、近似的に変換することで数学的な認識が可能になります。 世界の中に数学が存在するのではなく、数…

学問と流通

●岡本かの子『愚かなる(⁈)母の散文詩』青空文庫で読めますが素晴らしい!私は息子太郎のためにお化粧して美しいママになり、漢文、古文、フランス語、哲学、宗教、絵画、文学、音楽を学び、太郎が誇りにできる立派なママになり、だから太郎の日頃のお世話が…

第30回芸術分析塾ラカン 9月27日(土)予告

第30回芸術分析塾ラカン 9月27日(土)予告 《彦坂尚嘉の言葉》芸術は呪術ではありません。 呪術への退化は不幸を招きます。 自分の欲望は断念せずに、覚醒して幸福になること。前回の告知は、日にちが間違っていました。曜日はあっていたのですが、まことに…

小説と思い込み

最近、青空文庫で小説を読むのにハマってますが、私はもともと「読書が苦手」だったのですが、そういう意識はいつの間にか克服されたようです。と言うのも、私は読書が苦手だからこそ単なる想像を描いた小説を避けて来たのですが、良質の小説はそんな物では…

蓄積と想起

蓄積があるから想起があるのです。

一つの神と複数の視点

信仰を変えることは難しい、と言うより新たな信仰を自らに取り入れることは実に難しいのです。自らの内に複数の異なる信仰を同居させ、新たな信仰を迎え入れることです。つまり人の次元を超えた「一つの神」は、人の目からは必然的に「複数の異なる信仰」と…

判断と純粋経験

意味や判断は過去の記憶を参照した近似値に過ぎない。 判断したり意味づけすると、純粋経験が破壊される!西田幾多郎『善の研究』青空文庫のiPhoneアプリで読んでます‼︎

9月20日(土)第29回芸術分析塾ラカン予告

第29回芸術分析塾ラカン予告 第29回芸術分析塾ラカン 9月20日(土)予告 新設講座のご案内キッチュ3時限目モダニズム研究会 【塾の紹介】 ほとんどの美術作品は自分勝手に見ても、実は判断を間違えるものです。芸術を成立させている要素は非常に多いからです…

構造主義とは何か?

●「構造主義とは何か?」と問われ、どう答えるべきでしょうか?構造主義の対義語は表層主義です。つまり「構造主義とは何か?」を表層主義的に説明する仕方があるのです。そして実際、そのように答えることを相手が望んでいる場合が大半なのです。 「糸崎さ…

10月に静岡で二つのワークショップ

10月に静岡市でワークショップを二つ行うのですが、リンク先の説明が不十分のようで、あらためて内容を解説します。

ブタと戦争

ブタについて改めて調べるとイノシシの改良品種で、実際的にイヌより知能が高く自分の名前を覚え、芸も覚えて、さらに「鏡像」を認識する数少ない動物種なのだそうです。このようにヒトに近い存在を「食用」とするところに「文明」の秘密がありそうです。 人…

外国語と哲学

フッサール『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』読み始めましたが、かなり難しいです。けっきょく哲学を学ぶとは外国語を学ぶのと同じことで、ともかく日本語と哲学する言葉とは異なり、日本語では哲学は出来ず、日本語しか出来ない人に哲学は出来ない…

9月13日(土)「第28回芸術分析塾ラカン」のお知らせ

第28回芸術分析塾ラカン 第28回芸術分析塾ラカン 9月13日(土)予告 『芸術鑑賞ライセンス初段』の試験を、個人単位で開始いたします。合格者には段位認定証の発行を開始いたします。ご自分の芸術鑑賞能力を、確認してみたい方は試してみてください。 【塾の…